正羽取りベースの風呂敷デザイン
正羽取りの風呂敷は、四角いものを包むのに向いた構図で
下半分に横向きに帯のように図案が入っています。
着物の帯などにも用いられるデザインで、とても使いやすいものです。
風呂敷は斜めに包むことが多いですから、このデザインでは
柄と地がきれいに出ることとなります。
菓子折りや、お重などを包むには最適のデザインではないでしょうか。
この風呂敷には、地は藍や黒など一色で、横に白抜きで模様を入れた図案や
豪華に地にも柄をいれ、横には鶴や亀など縁起物の図案を
色とりどりに描いたものがあります。
中には地の色が上中下の三色にわかれている、大きなものを包むときに
より楽しめる図案もあり様々です。
また、帯のように図案が入ると言っても、境目が直線的なものもあれば
絵巻物の雲のように柔らかくふちどられているものや、境界がぼかされていたりします。
また、はっきりと入っている柄のまわりに透かしで模様が入っているものもあります。
この正羽取りという名前ですが、なぜ「正羽」と名付けられたのでしょうか。
取りというのは風呂敷の全体の柄や模様の位置を指します。
縦向きに図案がはいっているものは縦取りなのに、なぜ横取りではだめだったのでしょうか。
「横取り」というと横からきて奪うという悪い行為がよぎってしまいます。
ですから縁起の悪い言葉はあえて使わず、風呂敷に横向きに図案が入る様が
鳥が大きく羽を広げているように見えることから正面の羽、「正羽取り」となりました。
広げた状態では、ただ横に図案がはいっているだけですが、ものを包むことで
模様が曲がり、さらには地とかぶることで新たなデザインとなり、美しいラッピングになります。
ものを包むために考えられただけあって、包み方を変えることで見せ方も変わり、
一枚でもたくさんのアレンジができます。
結び目の工夫などしなくても布だけで魅せることができる正羽取りの風呂敷、
現代でも土産などを包むのに利用してみるのはいかがでしょうか。